轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろんごものがたり

論語物語

下村 湖人

「現代」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 132,688 字 · 266 页

青空文庫

顔回にはそれが出来る。彼はさすがに賢者じゃ。そこまで行くと、貧にしてへつらわないとか、富んで驕らないとかいうことは、もう問題ではなくなる。」

「先生、よくわかりました。」

と、子貢は、自分の未熟な考えを、みんなの前でうかうかと発表した軽率さを恥じる心と、孔子の言葉から得た新たな感激とを、胸の中で交錯させながら、こうべを垂れた。

しばらく沈默がつづいた。

詩を吟ずる声が、何処からか、かすかに流れて来た。子貢は、みんなの視線がまだ自分に注がれているのを感じて、少し息苦しかったが、詩吟の声に耳を澄ましている間に、ふと一つの記憶が彼の頭に蘇って来た。それは詩経の衞風篇に出ている「切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し」という一句であった。

彼は、これまでこの句を、工匠が象牙や玉を刻む時の労苦にたとえて、人格陶冶の苦心を謡ったものだと解していた。むろんその解釈が誤っているというのではない。しかし彼は、この詩の中に含まれている大切な一点を見逃がしていたのである。それは工匠の芸術心であった。仕事を楽むこころであった。労苦の中に、否、労苦することその事に、生命の躍動と歓喜とを見出す心であった。