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ちょうほうちゅうけいきょく

諜報中継局

海野 十三

「新青年」1944(昭和19)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,537 字 · 40 页

青空文庫

6

そういう方々のお力によって、多分あたくしは平凡なる理由で辞職できるかも知れません」

愛人「平凡なる理由?」

カスリン「そうなのよ。たとえば、あたくしが肺病と神経衰弱によって、大統領秘書の激務に耐えられないといったような名目でね。前任者が、そうでしたのよ。そうなってもあなたはあたしをこれまでのように愛して下さる」

愛人「ええ、そりゃそうですが……併しあなたは閣下の傍にいるからそのように美しいのではありませんか」

カスリン「ああ、やっぱりそうでしたのね。何もかもあたくしには分っていますわ。閣下の秘書を勤めて来た程の女ですもの。もうあなたとも、これ切りでお分れいたしましょう。あたくしは、あたくしひとりで行きます。そして暗黒帝国なるわが国を永遠に呪いつづけるのです。ああ、もうおよしになってください。あたくしに触らないで……どうぞ、どうぞ」

6

リチモンド市の裏町にて。

「ようよう、これは皆さん。お洗濯にせいが出ますな」

「おや、ジム爺さん。いい御機嫌だね。ああ分った。すてきな靴をはいて来たね、今日は……。どこで手に入れたんだい」

「うへへ。これかね。実はおれが二週間かかって手縫いで作上げたのさ」