轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まけないおとこ

負けない男

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页

青空文庫

と堀尾君は銀座へ向った。会う丈けは直ぐに会える積りでいたが、当が外れて、求職者の儚さを感じた。しかし本人が未だ来ていないのでは仕方がないと思って自ら慰めた。

一時間の後、三度目訪れても、

「何方ですか? 木下さん? 未だお見えになりません」

と受附の青年は初めて訊かれたような返答だった。

「何時頃お見えになるんですか?」

「大抵お昼過ぎです」

「それなら疾っくに然う言ってくれゝば宜いじゃありませんか?」

「…………」

「先刻から三度も来ている」

と堀尾君が極めつけた時、受附は返辞の代りに小窓を手荒く閉じた。堀尾君はその態度が癪に障ったから、直ぐに引き開けて、堅く捉えたまゝ、

「君」

と追究した。

「何ですか?」

「君は受附だろう?」

「はあ」

「受附なら受附らしく用の足りるように計らい給え」

「…………」

「木下さんは何時に来る?」

「今頃お見えにならないと、大抵お昼過です」

「それなら何故早く然う言わない?」

「…………」

「此方は先刻から三度も無駄足を運んでいるんだ」

「それは私の知ったことじゃありません」

「ないことがあるものか? 昼からなら何故昼からと言わない?」

「それは御無理ですよ。