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まけないおとこ

負けない男

佐々木 邦

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页

青空文庫

大きなヨタ記事

ハッハヽヽ」

「しかしこれからってのは有難いな。いながらにして花嫁花婿の記事が取れる。堀尾君、お嫁さんは何処出身の才媛だい?」

と三輪君はその係だった。

大きなヨタ記事

堀尾君は○○新聞社へ入ってから二月、無事平穏に勤めている。尤も苦手の鳧さんがいた○○紡績でも三月続いたのだから、未だ首になるには早い。

「今度は何うだい?」

と裏隣りの悌四郎君が訊く。

「馬鹿にするな」

「折合だよ」

「至極好い。会社とは空気が違う。仕事が性に合っているから大丈夫だ」

「相変らず帰りが晩いようだね?」

「宴会係だもの」

「社を代表して出るのかい?」

「うむ」

と堀尾君は詳しい事情を話さない。

「それにしちゃ月給が少いね」

と悌四郎君は冷かしたのでも何でもない。三井物産あたりで社を代表して毎晩宴会へ出るのは重役級だ。

「僕もこの頃少し疑問になって来たんだ。他の連中はボーナスがつく」

「君のはつかないのかい?」

「つかないとも言わなかったが、つくとも言わなかった。今更訊いて見る次第にも行かない」

「訊いて見れば宜いじゃないか?」

「具合が悪いよ。金のことだからね」

「金のことだから尚お明白にして置く必要があるだろう。