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まけないおとこ
負けない男
佐々木 邦
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1930(昭和5)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,799 字 · 202 页
結婚式まで
と三輪君は西田君を見つけた。
「君達は皆駄目だ。自分の拵えた新聞をロク/\読んで来ないんだから、喜びを分つことが出来ない」
と亀田さんは却って他の連中に苦情を言った。堀尾君のヨタはジャーナリズムの上から余程質の好いヨタだったと見える。
結婚式まで
ヨタ記事の話に少時花が咲いた後、机につくと間もなく、
「堀尾君、ソロ/\何うだい?」
と三輪君が隣りの机から向き直った。
「イヨ/\明後日だよ」
と堀尾君は結婚式の外何も頭にない。
「これだもの。ハッハヽヽ」
「何だい?」
「商売の方を忘れていちゃ困るよ」
「この通り机に坐っている。事件が起れば直ぐに出動するんだ」
「分りの悪い男だなあ」
と三輪君が持て余したように言った時、
「おい。行って来よう」
と後ろから芳野君が誘った。
「行こう。堀尾君」
と三輪君も立った。
「何処へ行くんだい?」
「会計へさ。今日を幾日だと思っているんだい?」
「成程」
「月給取がお互の商売だろう」
「分ったよ」
と堀尾君は一本参った。
「二十五日を忘れているところを見ると、堀尾君はお互と違うね」
と芳野君も黙っている男でない。
「ヨタ記事で油を取られたからさ」