轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まずしきひとびとのむれ

貧しき人々の群

宮本 百合子

「中央公論」1916(大正5)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 59,959 字 · 118 页

青空文庫

彼は予想外な結果にすっかり有頂天になって、驚きと喜びの混合した、

「ヤーッ!」

という感歎の声を、胸の奥から無意識に発した。

しかし、まだその声の消えないうちに彼は自分の不用心に気が付いた。急に自分のしていたことがすっかりこわくなった。

今にも誰か出て来そうに思われて来た彼は、せわしくあちらこちらをながめると、いきなり体をねじ向けて、大きな足音を立てながら、畑地の方へ逃げて行ってしまったのである。

これを見た私は思わず微笑した。せっかく落した果を皆そのまんま残して、自分の声に嚇かされて逃げて行った彼を見て、怒ることは出来ない。どこの子だか知らないけれども、息を弾(はず)ませて家へ帰りついたとき、彼に遺っているものとては、果物の雨を身に浴びたときの嬉しさとその後のたまらないこわさだけであろう。

愛すべき冒険者よ! よくおやすみ。あしたもお天気は好かろうよ。

けれども、彼もまた私に辛い思いをさせる畑荒しの一人だというのは、何という厭なことなのだろう。

十一

或る日突然私は桶屋から、金の無心をかけられた。彼は、今までもあまり貧乏なので、祖母からいろいろ面倒を見てもらっていたのだけれども、病人の娘を気味悪がって、家へはあまり近づけられないでいたのである。