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のわき

野分

夏目 漱石

一个直言不讳的文学老师,在乡村中学碰了一鼻子灰。理想撞上现实的台风,他还能像野分一样坚持自我吗?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,508 字 · 189 页

青空文庫

「外套は着ていてもいいのか」と中野君に聞いて見る。

「外套は構わないんだ。しかしあつ過ぎるから脱ごうか」と中野君はちょっと立ち上がって、外套の襟を三寸ばかり颯と返したら、左の袖がするりと抜けた、右の袖を抜くとき、領のあたりをつまんだと思ったら、裏を表てに、外套ははや畳まれて、椅子の背中を早くも隠した。下は仕立ておろしのフロックに、近頃流行る白いスリップが胴衣の胸開を沿うて細い筋を奇麗にあらわしている。高柳君はなるほどいい手際だと羨ましく眺めていた。中野君はどう云ものか容易に坐らない。片手を椅子の背に凭たせて、立ちながら後ろから、左右へかけて眺めている。多くの人の視線は彼の上に落ちた。中野君は平気である。高柳君はこの平気をまた羨ましく感じた。

しばらくすると、中野君は千以上陳列せられたる顔のなかで、ようやくあるものを物色し得たごとく、豊かなる双頬に愛嬌の渦を浮かして、軽く何人にか会釈した。高柳君は振り向かざるを得ない。友の挨拶はどの辺に落ちたのだろうと、こそばゆくも首を捩じ向けて、斜めに三段ばかり上を見ると、たちまち目つかった。黒い髪のただ中に黄の勝った大きなリボンの蝶を颯とひらめかして、細くうねる頸筋を今真直に立て直す女の姿が目つかった。