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きんば

金歯

小川 未明

「文芸」1935(昭和10)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 7,108 字 · 14 页

青空文庫

三

木にしろ、草にしろ、鳥にしろ、虫にしろ、本質を変えていない。正直で、明朗だ。あの澄みきった子供の目のようなものさ。」

二階のガラス戸から、あさぎ色の空が、遠い記憶のようにのぞいていました。晩秋の日の光が、桜のこずえに残った、わずかばかりの葉を透して、花よりもきれいに見せています。

子供が、青竹を切って、造った管笛を吹くように、ピイ、ピイ、鳥がなくので、広い、隣の庭先を見下ろすと、ひよどりが、青木の枝にきて赤い実を争っているのでした。

さき子と、令二は、窓から、頭を出してこれをながめていました。

「思いがけない、いいものを見つけたといって喜んでいるのよ。」

「ほんとうかな。」

「この赤い実を食べてもいいのかといって、聞いているんだわ。」

「そうかしらん。」

「お天気がいいので、へぼ絵かきが、こっちを見て笑っているといっているのだわ。」

「ああ、そうだ、それと並んで、乾しいわしのようなヒステリーの女がといって……。」

令二は、姉の頭の髪をつかみました。

「お母さん、きてくださあい。」という、さけび声がしたのであります。

三

「ねえ、お母さんは、令ちゃんをどうお思いなさるの。