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こんじきのし
金色の死
谷崎 潤一郎
「東京朝日新聞」1914(大正3)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,997 字 · 46 页
其処には驚く可き多数の人間の彫像が、或は天を仰ぎ、或は地に臥し、柱に凭れ石に腰かけ、種々さまざまな姿態を悉して、若しも我々が近寄って行ったなら一度に動き出しはせぬかと思われる程、生き生きとした肉体の力を示して居ました。
「彫刻もこんなに沢山集めて見ると、一種物凄い感じがするね。」
私は岡村君を顧みて云いました。すると彼は、いかにも我が意を得たと云うように打ち頷いて、
「君にもそう云う気がするだろう。………此彫刻はみんな古来の有名な作品を摸造したのだが、こんな具合に集めて見ると全然別趣の効果を現すだろう。排列の方法には随分苦心をした積りだが、斯う云う風に雨曝しの場所へ一緒に並べて置かなければ、彫刻が齎す肉体美の荘厳な力は感じられないのさ。ねえ君、こうやって見て居ると何だか人形のようには思われないだろう。いきなり飛び付いて肩を揺す振ってやりたくなるだろう。此の人々が裸で夕日に照されて、悉く沈黙を守って居るのが寧ろ不思議なくらいだろう。………全体のグループを見渡した時の印象さえ深ければ、別段一つ一つを詳しく吟味する必要はないのだけれど、それでもまあ模倣の手際を見てくれ給え。