轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きんぎょはしんでいた

金魚は死んでいた

大下 宇陀児

「宝石九月号」岩谷書店、1954(昭和29)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,514 字 · 22 页

青空文庫

それはたしかに、あたりまえですが……その生きていた時には、元気にひらひら游いでいたといいましたから……」

「ちよッ! なにいつてるんだ。ものが金魚だろう。生きていたら、ひらひら游ぐのだつてあたりまえだぞ。それともランチュウつてやつは、游がずに、しやつちよこ立ちでもしているのかな」

「あッ、そうか、それも……そうでした。ランチュウは頭が重いせいか、游ぎながらでも、しやつちよこ立ちになることが多いんですよ。――ええと、しかし、へんですねえ」

「どうも困つた男だな。いつたい何がどうしたというんだね」

「そうでした。すみません。わけをハッキリと話さなくちやいけなかつたんです。実は、この事件の発見者は、島本守という若いお医者さんでしたね」

「そうだよ。そのとおりだよ」

「ところが、その島本が、私に、金魚はひらひらしていて美しかつたといつたんですよ。――いや、そんなふうにいつたのじや、わかりませんね。事件現場での話です。私は、金魚のことばかり気にしていました。それから島本に、生きていた時の金魚はどんなだかつて聞いたんです。島本は、ぼたんの鉢を老人のところへ持つてきて、庭で老人と立話をしたというのですから、その時に、金魚を見たはずだと思つたからです。