轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なべしまかいのかみ
鍋島甲斐守
吉川 英治
「オール讀物」文藝春秋、1936(昭和11)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,322 字 · 23 页
『は、はい、左様にござります』
『くれてやらぬか、どうせ、好きな者同士、無事で暮しさえすれば、それでそちも安堵であろうが』
彦兵衛は、いつも頭の低い構えと口癖を今夜はわすれ果てていた。すこし反身気味になって、理屈をこねた。
『お奉行様、それでは、おそれながらお上の御法というものが有ってないようなものになりはしますまいか』
『なぜ』
『駈落者は、御法度の筈でございます。捕まえて、日本橋のたもとに、曝し者としてくださるのが、御法だと覚えておりますが。……まして新之助という男は、祭礼の神輿をケシかけて、手前の家を、野原のように若者に踏み荒させ、そのごたくさ紛れに、養女を攫って行った悪い奴でございます。これを御成敗くださらないでは、手前ども力の弱い町人は、安心してお膝元に住んではおられません』
『成程、おまえはなかなか御法規に明るいの。いかにも、そういう御法度はあるが、駈落事などは、滅多に、ほんとに曝し者にいたした例はすくないのじゃ、――だが、望みとあれば手配をしてつかわそう』
『ありがとう存じます』
『然し――新之助のほうから、娘は返してやるが、その代りに、父親の生命をもどしてくれという正当な訴えが出たらそちは何うする』