轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

いんじゅう

陰獣

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1928(昭和3)年8月増刊~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,968 字 · 131 页

青空文庫

彼の道化姿と静子への脅迫状とにどんな因果関係があるのか私には分らなかったが(本田が浅草で春泥に会ったのは、丁度第一回の脅迫状が来た時分らしかった)何にしても打っちゃっては置けないという気がした。

私はその時序に、静子から預っていた、例の脅迫状のなるべく意味の分らない様な部分を一枚丈け選び出して、それを本田に見せ、果して春泥の筆蹟かどうかを確めることを忘れなかった。すると、彼はこれは春泥の手蹟に相違ないと断言したばかりでなく、形容詞や仮名遣いの癖まで、春泥でなくては書けない文章だと云った。彼はいつか、春泥の筆癖を真似て小説を書いて見た事があるので、それがよく分るが、

「あのネチネチした文章は、一寸真似が出来ませんよ」

と云うのだ。私も彼のこの意見には賛成であった。数通の手紙の全体を読んでいる私は、本田以上に、そこに漂っている春泥の匂を感じていたのである。

そこで、私は本田に、出鱈目の理由をつけて、何とかして春泥のありかをつき止めては呉れないかと頼んだのである。本田は、

「いいですとも、僕にお任せなさい」

と安請合をしたが、私はそれ丈けでは安心がならず、私自身も本田から聞いた春泥の最後に住んでいたという、上野桜木町三十二番地へ行って、近所で様子を探って見ることにした。