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ゆき
雪
中谷 宇吉郎
「雪」1938(昭和13)年 11月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,536 字 · 152 页
ここでいう本来の意味での氷晶は北満ではしばしば見られるそうである。それは簡単にいえば霧の凍ったものなのである。
上層に氷晶が出来てこれが大気中を落ちて来る間に、水蒸気が昇華によって、その周りへだんだん凝縮して附加してゆくと、普通に見る雪の結晶となるのである。この雪の結晶の生長の過程で、気温や水蒸気の量などが異ると、雪の結晶の形がいろいろに異って来るのである。このことは、「雪を人工的に作って」見ることによって、はっきりとわかるのである。その点は後の章「雪を作る話」で詳しく述べることとする。
さて比較的上層では、これらの結晶は各※(二の字点、1-2-22)独立に、地上に向って落ちて来る。地表に近くなって、気温が零度に近いところがあると、結晶は互に衝突しながら落ちて来る間にお互に附着し合って、地表へ達する時には数十乃至数百の結晶が一つの塊即ち雪片になって来るのである。これが即ちわれわれによって牡丹雪あるいは綿雪と呼ばれているものである。
牡丹雪あるいは綿雪と呼ばれているものは、割合に温暖の地に降ることは人の知るところであって、その大きさは、時には直径十五糎にも及ぶものがあることが記録されている。