轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かぜ
風
壺井 栄
「文芸」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 38,702 字 · 78 页
「Mたちがきてるんだって。おれの様子を見によこされたんだろ。死にそうかどうか。」
「そんなふうに思うの、よしましょうよ。操子さんは操子さんですもの。」
五日もたつと、外傷はほとんど痛みを去り、修造はまた食うための仕事に出かけるといいだした。通信社の仕事は年末はことに忙しいのだった。ところが、出かける段になると、彼は不安そうに首をかしげ、まだはれのひかぬ左手首をしきりになでながら、
「へんだな。動くと、ひどく痛む。」
左ききの彼は、その左手で、飛んでくるこん棒をうけ、頭や顔を守ったのだという。茂緒は不安になり、むりやり医者にさそった。案のじょう骨が折れていることが分かった。彼の左手はギブスをはめられて、ボクサーのようになり、三角巾でその手を首につって帰った。家の近くまでくると、向こうから、彼の手を折った連中が三人、不敵な顔を並べてやってきた。またHの家にでも屯していたのであろう。茂緒は顔をあげ、じっと相手を見ながら近づいていった。MとUとKだ。すれちがいざま、その中の一人は修造のそばにすりよってきて、「痛いだろうなア。」といやみをいった。茂緒は、ぞおうっと寒気を感じた。