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ましょうのおんな
魔性の女
大倉 燁子
「マスコット 一巻七号」1949(昭和24)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,898 字 · 20 页
彼女はねっとりした、まつわりつくような調子になって、
「そんなに嫌がられているのに、私の方じゃ好きで好きで堪らないとは何という情けない事でしょう。でも、逃げられるものなら逃げてごらんなさい。私の霊は私の肉体を離れて、あなたの後を追い、どこまでだってついて行きますからね」
「ついて来るなら、来てみろ」
「行きますとも、ほら、あなたの心の中に、私の霊が入って行く――」
安子はうつろな眼をして、彼の胸を指さした。
「えっ?」
彼はぱっと起ち上ると何者かを払いのけるように、心臓のあたりをばたばたと叩いた。叩いているうちに、彼は次第に理性を失って行った。
ただ、やたらに、眼の前にいる安子が憎くてたまらなくなった。
「こいつさえいなければ――」
という念だけが頭の中で渦を巻いていた。
彼は彼女が火鉢に突きさしておいた裁縫用の鏝を手にとるや、力まかせに彼女の頭をなぐりつけた。
「あっ。あなたは――、ほんとに、私を殺す気だったのね?」
仰向けに倒れながら、なおも鏝を振り上げて、打ち下そうとする本庄を、いとしそうに見上げて、
「あなたに殺されることは、もうちゃんと前からわかっていたのよ。