轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ましょうのおんな
魔性の女
大倉 燁子
「マスコット 一巻七号」1949(昭和24)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,898 字 · 20 页
三
そして気晴らしに桃子さんに会って、機嫌よく帰っていらっしゃいね」
「何云ってやがるんだ。桃子なんて女、僕は知らない」
「お忘れになった? 御病気の時お見舞いに来てくれたタイピストさんよ」
本庄はそっぽを向いていると、果して酒屋から電話を取り次いできた。
彼はそこにあった庭下駄を突かけて、そわそわと出て行ったが、電話口の声は桃子であった。
「奴、何もかも知ってやがって」
と忌々しそうに云ったが、
「とにかく、行くよ。昨夜のあすこ、ね?」
三
本庄は一分の隙のない昨夜のスマートな服装に引きかえて、今日はふだん着のままで羽織も着ず庭下駄を穿いて、奥田子爵の御休息所へ行った。近くから電話をかけたとみえて、茶席には桃子が先に来て待っていた。
彼女の青褪めた顔を見ると、本庄は胸がドキリとした。
「家の方に知れたんじゃない?」
真先に胸に浮んだことを云った。
「いいえ、違うの。家の者じゃない、あなたの奥様に知れちゃったじゃないの。私、どうしよう」
彼女はおろおろ声で云った。
「それがどうして、君にわかったの?」
「奥様から今朝お迎えが来たのよ。そしてお目にかかりました」
「どこで?」