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ましょうのおんな

魔性の女

大倉 燁子

「マスコット 一巻七号」1949(昭和24)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,898 字 · 20 页

青空文庫

すみません。お疲れのところを余計なこと云って、お気にさわったらごめんなさい。では私はお先へ寝みますから、御宴会のつづきでも考えて、思い出しながらお飲みになって下さい」

安子は襖をぴしゃりと閉めて出て行った。宴会のつづきでも考えて――、と云われた言葉が頭に残って気になった。

「お疲れのところ、と、云いやがった」

本庄は低声でつぶやきながら、襖越しに彼女の方を睨んだ。

二本しかないビールを奇麗に飲んでしまって、床に就いたのは何時だかわからなかったが、眼が覚めた時には安子はいなかった。出かけてから大分時間がたっていたとみえて、朝飯の仕度は茶の間の卓上に出来て白いレースの覆いが被ぶせてあったが、今朝焚いた御飯もすっかりさめて、味噌汁は水のようだった。朝飯を終って、お茶を飲みながら、何気なしに、妻の机の上を見ると、いつもきちんと片づけてあるのに、今日に限って、家計簿も出しっぱなしになっている、日記帳の上には万年筆もころがっている。

「ほう。女房の奴、日記なんかつけてやあがるのか、生意気な――」

本庄は安子がどんな事を書いているか、こっそり見てやろうと思った。

「女房の日記なんてものは、およそくだらない。