轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页
二、伸子よ、運命の星の汝の胸に
そして、法水が試みにそれを押すと、奇妙なことには、その部分が指の行くがままに落ち窪んでゆく。すると、それと同時に、その一段の積石が音もなく後退りを始めて、やがて、その跡の床に、パックリと四角の闇が開いた。坑道――ディグスビイの酷烈な呪詛の意志を罩めたこの一道の闇は、壁間を縫い階層の間隙を歩いて、何処へ辿りつくのだろうか。鐘鳴器室か礼拝堂かあるいは殯室の中にか、それとも四通八達の岐路に分れて……。
二、伸子よ、運命の星の汝の胸に
足許には小さな階段が一つあって、そこから漆のような闇が覗いている。永年外気に触れたことのない陰湿な空気が、さながら屍温のようなぬくもりと、一種名状の出来ぬ黴臭さとを伴って、ドロリと流れ出てくる――文字どおりの鬼気だった。法水等三人は、さっそく懐中電燈を点して、肩を狭めながら階段を下りて行った。すると、そこは半畳敷ほどの板敷になっていて、そこまで来ると、今までは光線の加減で見えなかったスリッパの跡が、床に幾つとなく発見された。しかし、その中にはきわめて新しい一つがあって、それが一直線に階段の上まで続いているけれども、その小判形の痕には、たぶん静かに歩いたせいでもあろうか、前後の特徴さえも残っていないのである。