轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 页

青空文庫

それは無言の現実だった。ロダンの「接吻」の胴体から取り出したものを、法水が衣袋から抜き出した時、思わず二人の眼がその一点に釘付けされてしまった――乾板。そして、幾つかの破片をつなぎ合わせて見ると、それには次の全文が現われたのである。

一、ダ  ベ     砒石の    。

一、川那部    、胸腺死の危    。

(特異体質の箇条は、その二つにのみ尽きていて、それ以前のものは不明だった)

一、余は、吾児 犠牲とするに忍    を以て、生れた女児を男児に換えて、生長後余が秘書として手許     紙谷伸子なり。それ故、旗太郎は    血系には全然触れざるものなり。

こうして、紛糾混乱を重ねた黒死館殺人事件は、ついに最終の幕切れにおいて、紙谷伸子を算哲の遺子として露わすに至った。そうなると、勿論算哲の悶死は、伸子の親殺しであり、父よ吾も人の子なり――の一文は、当然その深刻をきわめた、復仇の意志にほかならないのだった。しかし、その乾板と云うのが、法水の夢想の華――屍様図の半葉であったとは云え、要するに、現存のものはその一部のみであって、他は落した際に微塵となったか、それとも、伸子が破棄してしまったものか、いずれにしても二人以外の特異体質の闡明は、久遠の謎として葬られなければならなかった。