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あすなろう
あすなろう
山本 周五郎
「小説新潮」新潮社、1960(昭和33)年8月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,925 字 · 41 页
ことはおとなとおんなじなんだ、ほんとだぜ」
小女が肴の皿を持って来て置き、あいている皿や小鉢を重ねて、脇のほうへどけ、酒の注文を聞いて去った。
「いちどこんなことがあった、これはいま云った筆屋の娘で八つくらいだったかな、いい物を見せてやるから来いって云うんだ」政は一と口啜って続けた、「そうよ、慈光院の裏に空地があって、隅のほうに高さ三尺ばかりの笹やぶが茂ってる、その中へ伴れこんだと思うと、その娘が坐って、両足をこう、ぱっと左右へ」
「どこかで聞いたような話だぜ」
「まあさ」と政はなお続けた、「まあそれはいいんだ、それはよくあることかもしれねえが、おれの云いてえのはそのときの娘の眼だ、こうやってぱっとひろげてから、おれの顔をじいっとみつめてやがる、ひろげて見せるだけじゃあねえ、それを見ておれがどんな顔をするか、ってえことに興味があったんだな、ずっとあとで、そういうまねをすることの好きな女にたびたび会ったが、そういう女たちと、八つの娘の眼つきが殆んどおんなじなんだ、ほんとだぜあにい」
「それで、つまり」と文次が云った、「女は子供のときから女だってえわけか」