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あたまでっかち
あたまでっかち
下村 千秋
「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页
が、きてみるとそれどころか、小さな店がごちゃごちゃとならんで、いやなにおいがして、むし暑くて、どこにも美しいところがありません。それに、人をふきとばしそうなサイレンをならしている自動車、往来いっぱいになってがたがた走ってくる乗合自動車、うるさくベルをならしながらとびまわる自転車などで、うかうかと歩いてもいられません。林太郎はしろ公といっしょに幾度となく往来のすみっこにたち止まっては、
「まったく、やんなっちゃうなあ。」
と、ひとりごとをいいました。
しかしそんなことをしていたら、いつまで歩いていてもおっかさんに会うことなどできません。林太郎はある荒物屋の店先へ立ち、学校でならったていねいな言葉で聞きました。
「土浦の病院はどこですか。」
「土浦の病院? それだけじゃ、わかんねえよ。」
荒物屋のことばはらんぼうです。
「土浦の病院だよ。」
「このでっかちあたま、土浦には、病院がいくつもあるんだからな、その名前を聞いてこい。」
林太郎はおずおずとその店先をさりました。林太郎は、この町へきて「土浦の病院」とさえいえばすぐわかり、それでまたおっかさんにも会えるものとばかり思ってきたのです。