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あたまでっかち
あたまでっかち
下村 千秋
「赤い鳥」1935(昭和10)年2~4月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 17,773 字 · 36 页
一二
林太郎もその前ではしばらく立ち止まって、
「やっぱり竜宮みたいなところもあるなあ。」と感心したりしました。
一二
病院はすぐわかりました。林太郎はおそるおそるその玄関へはいって、まっ白な円い天井に大きな電灯がともっている下に立ち、
「こんちは、……こんちは……。」
と、いいました。すると受付とかいてあるところの窓があいて、
「もう夜だからこんばんはというもんだよ。」という声がして、白い服をきた若い女が顔をだし、「なあに、くすりをとりにきたの。」
「ううん、おれのおっかさんいるけ?」
「ほっほほ。おれのおっかさんて、おまえさんなんという名?」
「林太郎……。」
「やな子、林太郎じゃわかんないよ。なに林太郎というの?」
「川並林太郎というの。」
「川並……? おまえさんのおっかさんだね。」
「うん。」
「そんなお方、うちには入院していないわ。」
「うそだあ。いるっていったよ。」
「だっていないんだもの。うそなんかいやしないよ。」
「……ほんとにいないの。」
林太郎はうらめしそうににらみました。
「おまえさん、病院をまちがえたんだろ。この前を左へいくと、むこう側にもひとつ病院があるから、そこへいってごらん。