轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
「講談雑誌増刊号」博文館、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 页
つまらぬ工作をするよりしぜんに任せよう、まずのんびり精気をやしなうことだ。……そして暇があると魚釣りにゆき、ときには料亭で遊んだりした。
だが事実はのんびりしてはいられなかった。敦信が去るとまもなく、若いれんちゅうの抑えに抑えていた反感と憎悪が、しだいに露骨にあらわれだしたのである。
家庭も相変らずであった。妻とは名ばかりで、祝言以来まだいちども寝屋をともにしたことがない。食事だけはいっしょである。しかも松尾は好みのよい着付けにあでやかな化粧で、いつもなまめかしいほど美しくしていた。
「――きれいだね、眼がさめるようだ」
思わず玄一郎はこういうことがあった。すると松尾の眼がきびしく光り、唇のあたりに冷笑がうかぶのであった。
「この土地では、女のなりかたちを褒めたり致しますのは、小者か下人のほかにはございません、お慎み下さいませぬと、わたくしばかりでなく一族の恥になります」
概していっも黙ってしまうのだが、このときは玄一郎はわざときまじめに云った。
「江戸でも士君子は口にしないようだ、……つい出てしまったんだよ、……美しいものを見ると下人でなくとも美しいと云いたくなるものらしい、ことに夫婦のあいだなどではね」