轻松读懂日语经典作品
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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
「朝日新聞日曜版」 1967(昭和42)年1月8日~2月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 页
りつ子は大きく頷いた、「本所に友達がいるの、紙箱工場で仕事があるんですって」
「だって小学校時代の友達だろう」
「うん、松野志気雄っていうの」
「じゃあ、男の子じゃあないか」
「そうよ、男の子じゃあいけないの」
「いや」彼は眩しそうに眼をそらした、「そんなことはないさ、もしそんなふうに聞えたらごめんよ」
「男の人ってすぐそんなふうに考えるのね、お父さんもそうだったわ、男の子とちょっと仲よくしてもすぐに怒ったわ」
「それだけきみのことを心配してるんだよ」
「なぜかしら」りつ子は首をかしげた、「どうして男の子と仲よくしちゃあいけないのかしら」
「むずかしいことだね」隆二はゆっくりと云った、「でもそれはもう少し大きくなればわかると思うよ」
「ふうん」とりつ子は首をかしげた、「そんなものかしらね」
五六人の百姓らしい男たちが、二人を追いぬき、黙って坂道をくだっていった。
「あれ出稼ぎにゆく人たちよ」とりつ子がいった、「お百姓だけではくらせないから、大阪とか名古屋あたりへ、冬のあいだだけ稼ぎにゆくんですって」
「百姓ではやってゆけないのか」
「若い人たちは男も女も出てっちゃうでしょ、だから年寄りだの子供だけしか残らないから、田圃や畑もろくに作れなくなるんですって、それに冬は雪でなんにも出来ないしね」