轻松读懂日语经典作品
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おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
「キング増刊号」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,158 字 · 26 页
二
二
正吉は黙ってふところへ手をやった。気味の悪いような盗汗だった。
――もう長え命じゃあねえ。
正吉はそう思った。
――この頃お美津ちゃんの夢ばかり見るのもそのせいかも知れねえ。人間死ぬときには一生の事を夢に見るってえからなあ。
「実はひと仕事持って来たんだ」
辰はお紋の方へ話しかけていた。
「仕事ってまた例の口かい」
「そうじゃあねえ、おいら初め橋場の親分まで、このところ可笑いくれえの不漁さ、このまま三日もいれあ人間の干乾しが出来ようてえ始末なんだ」
「こっちも御同様なのさ」
「そこで相談だが、まあ聞いてくんねえ筋書はこうだ、――橋場の親分が客人を伴れて来る、場所は横網の葉名家」
「じゃあ博奕だね」
「博奕は博奕だが種がある、親分が客人を伴れてくる時に拵え博奕だというんだ。いいかい、田舎上りのいい鴨がいるから組みで拵え博奕をやろうと相談をして来る」
「田舎上りのいい鴨てえのがあるのかい」
「そこがねたさ、鴨には正さんに化けて貰うんだ。――正さんが鴨で博奕を始める、なあに拵えは分っているんだ、いいくらい勝たして置いてから、正さんが拵え博奕の現場を押えて尻を捲るんだ」