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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

あゝいう正義人道の問題が起りますと、名古屋中の人がこの公園に集まります」

と徳さんも生粋の名古屋人だ。五銭均一を不義非道と心得ている。

僕達は再びその均一電車に乗った。気の所為か余り込んでいなかった。殊に僕の前に坐っていた商人らしい男は怏々として幾度か溜息を吐いた。行き詰まって金の鯱の鱗を剥がす策略を廻らしているのか、それとも一区で五銭払うのは馬鹿くさいと考えているのか、僕には一寸判断がつき兼ねた。ところへ停留場で又一人の商人体が乗り込んだ。見知り越しの間柄らしく、

「おや、何処へ」

と頷くと、僕が鯱泥棒の嫌疑を半ばかけていた男は、

「病院へ行って来ました。末のが疾風に罹ってなも。一寸も埓明かんでなも」

「然うきゃも。疾風はおぞぎゃあぎゃあも」

「村岡君、疾風というのは疫痢のことだよ」

と隣にいた団さんがお父さんに通訳した。

「疫痢が流行ると見えるね?」

「此処の名物さ。恐らく此処が本場だろうよ。此処のは特に悪性で勝負が早いから土地の人は疾風と言っている」

「灌腸器と箆麻子油の宣伝が必要だね」

とお父さんが言った時、僕達はもう新栄町に着いていた。

「栄町までブラ/\歩こう。