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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「実は感心しているところさ。毎日の過労が未だ一向影響していない。家で学校へ行っている時よりも忙しいのだから身体具合は悪くなって宜い筈だけれどもね」

と三輪さんは健康を損ねるのが目的のように答えた。

「冥利を知らない男さね。同じ忙しいんでも遊ぶのと働くのは違うよ。余程豪い仕事をしている積りだから驚いてしまう」

と団さんが言った。

「兎に角身体具合の好いのは結構だよ。時々里心を起すのは君の癖だから何とも思わないけれどもね」

とお父さんも安心したようだった。

御飯が済むと宿の亭主が出頭して挨拶を述べてから、

「今日はこれから御参詣でございますか?」

と尋ねた。

「否、外宮さんも内宮さんも昨日済んで、今日はこの辺と二見さ」

と団さんが答えた。

「左様でございますか。お早いことで。鳥羽もこの附近の島めぐりをなさいますと丁度よろしい一日のお慰みになります。八十五島ございまして、すぐそこの坂手や桃取のようなのは一島が一村で、役場も小学校もございます」

「昨日登る時には大骨を折ったが、高いところ丈けに眺望は好いね」

とお父さんは島だらけの海を見渡しながら言った。

「この樋の山からの眺望は東洋第一だと申します」