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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页

青空文庫

「ナカ/\悪知恵があるんだね」

「これぐらいに立ち廻らないと息抜きは出来ない。十二時まで遊んでいても大丈夫だよ。自動車で急げば十分で家へ着く。しかし家へ着いてからが大事だ。二人一緒に入ると直ぐに感づかれてしまう。君が先に入って僕が外に待っている。否、僕が先の方が手順が宜い」

「泥棒でもするようだ」

「嘘をつくんだから一種の泥棒には相違ない。家内は『お晩うございましたね?』と睨むに定っている。怖いから見ないようにして、『何時だね? 晩くまで引っ張られて、あゝ、肩が凝った』と言う。『もう十二時半でございますよ』と来る。『それじゃ村岡君は最早寝たろうね?』と受け流す。外で待っているんだから内に寝ている筈はない。続いて、『然うかい。それにしても晩いね。奴さん哲学者だから道でも間違えたのか知ら?』と心配そうに言う。斯ういう場合に嫌疑のかゝらないようにと思って、家内には君を世間のことは西も東も分らない哲学者だと紹介してある。用意周到なものだろう? そこへ君が『や、唯今』とか何とか言って平気な顔をして入って来る。『何うしたんだい? こんなに晩くなって?』と僕が咎める。