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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
「主婦之友」主婦之友社、1922(大正11)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 164,113 字 · 332 页
という註文さ」
「泥棒を紹介してくれは気に入ったね。矢っ張り君は人相が好くないと見える」
「人相の問題じゃないよ。戸締りの試験をしようと言うのさ。ところで僕は有らゆる階級に知人があって交際は決して狭い方じゃないが、生憎と泥棒には一人も懇意なのがない。そこで持て余した結果警視庁へ行って井口君を引っ張り出した」
「巧いところに気がついたね。彼のシャロック・ホームズなら確かに泥棒以上だよ」
とお父さんは少し変った話になると無暗に嬉しがって小説の人物を引き合いに出す。この点は三輪さんと共通だ。
「西洋人じゃないぜ。君の知っている彼の井口君さ。僕は彼の男に感服したのは今度ばかりじゃないが、実に豪いもんだね。種々と泥棒の道具を持って来て、此処は斯うして明ける彼処はあゝして外すと説明しながら、三十九箇所から入って見せたぜ。商売となると友達も親類も見境がなくなる男だから始末に負えない。僕は大いに面目を失したね。主人公も驚いたが、大工は呆れ返って、『彼の人は何ものですえ?』と訊いた。『警視庁の鑑識課長さ』と教えてやると、棟梁めツク/″\井口君の顔を眺めていたが、到頭、『俺は悪いことは言わない。