轻松读懂日语经典作品
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このこをのこして
この子を残して
永井 隆
「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页
ステンドグラス
子守にやとわれるぐらいは当たりまえの話だ。山羊の飼料の草を刈ってきたり、豆ちぎりの手伝いをしたり、花を売ったり、瓦の片付けをしたりしながら、自ら学資をかせいで勉強をせねばならぬ身分なのだ。むごいとも思う。いじらしいとも思う。しかし、これがこの子の前におかれた道なのである。
家の格だの、昔の身分だのにとらわれて、くよくよ思う私のほうが、まだできていないのだ。あの子はそんなことにこだわらず、ただ赤ん坊が可愛いから、ああしてうれしげに子守しているのかもしれない。
とは言うものの、この小さい子がなんの罪もないのにこんな苦労をして成長せねばならぬのか、と考えると、やっぱり心は乱れがちになる。
ステンドグラス
カヤノも誠一も絵が好きだ。私も幼いときから絵が好きだった。しかし出雲の山の奥の、簸川沿いの村で育ったから、いい手本があるわけではなし、絵具もなかった。私は古い硯と筆とをもっていた。墨がなかったので、木炭を丹念にすって、それで描いた。うすくしか描けなかったし、木炭のこまかい粉が、描いた線の乾いたあとに浮かんでいた。色は小川へ行って色石をひろって、それをすって使った。