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このこをのこして

この子を残して

永井 隆

「この子を殘して」大日本雄辯会講談社、1948(昭和23)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,102 字 · 203 页

青空文庫

超音波・ダイナマイト・電流・シャボン・鉛筆・紙・アスピリン・エンジン・ああ飛行機――」

「ジープ・トラクター・ブルドーザー・チューインガム……」

「チューインガム? ふうん、なるほどね」

「人造レモン水・サッカリン・人造バター……」

「おやおや、誠一は食い物や飲み物ばかり言うんだね」

「まだ知ってるよ。いちばん大きいのを」

「ほう? ――なんだい?」

「原子力!」

「それだっ!」

二人は自分の言葉に興奮して黙ってしまった。小屋を囲む原子野は昼ながら、しんかんとしずまっている。風は吹きさらしに吹いてこの小屋の中を過ぎるのだが、外には風音もない。風の鳴るべき木も草もない。のっぺらぼうだからである。あらためてガラスの外を見渡す。すごい力だったなあ! と今でもやっぱり感嘆する。たった一発で、これだけの広い町が、のっぺらぼうの原っぱに変わっちゃったのだ。

「ここではじけたこの原子爆弾の物語る意味はいろいろある」私はしずかに語り始めた。

「このたびの戦争は、資源の奪い合いがその主な原因の一つだった。利用すべき天然資源の全体の量が大体わかってきた。たとえば石油の埋蔵量は地球全体であといくらある、石炭はいくらある、鉄は、アルミニウムは? 耕地は? ……それがわかってきたので、あと何年たったら何と何は無くなる、何は何年掘ったら無くなる……という