轻松读懂日语经典作品
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さるすべり
さるすべり
山本 周五郎
「富士」大日本雄辯會講談社、1943(昭和18)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,095 字 · 24 页
きょう着いた行李の中からここへ残った者の分はとりわけられてある、いま分配するから、受取った者はさがって休むがよい」そう云って家士たちに分配を命じた。
家族の心のこもった肌着や下帯や胴着や、こまごました日用品の数々のほかに、手紙などが出てくると割れるようなよろこびの声があがった。治部介には妻からの手紙が届いていた、かれは独りになってからそれをひらいて読んだ。白石の勝いくさなにより祝着に存じ奉りそろという書きだしの短いものだったが、そのなかで一子小次郎のことを書いたくだりにはさすがに胸が熱くなった。小次郎はもう七歳になり、ひどく活溌でなかまの大将になってはいくさ遊びをしたがる、また城下の荒雄川で魚を突くことを覚え、自分でなどを作り巧みに水をくぐって時には四五十尾も魚をあげてくることがある。そんなことが簡単にではあるがかなりいきいきと記してあった、そしてその末尾に、「わたくしこと女ども二十余人の宰領して行李と共に北目までまかり越え、お曲輪うちにてこの文したため申しそろ。なお三十日ほどは当地にて御陣の端下つとめ申すべきはずにござ候えども、おめもじの折などかまえてあるまじくと存じまいらせそろ」