轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しじみがし

しじみ河岸

山本 周五郎

「オール読物」文藝春秋新社、1954(昭和29)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,438 字 · 51 页

青空文庫

と高木が云った、「とにかくそのつもりでやってくれ、いよいよとなったらまた知らせるよ」

律之助は頷いた。

「それで」と高木が云った、「昨日の金がどうしたんだ」

「うん、あれは暫く借りておけるかどうか、聞いておきたかったんだ」

「いいだろう、おれがうまくやっておくよ」

律之助は「頼む」と云った。

役所を出た彼は、数寄屋橋のところで辻駕籠に乗り、深川へいそげと命じた。蛤町の堀に面した、正覚寺の門前で駕籠をおり、寺の中へ入ってゆくと、差配の源兵衛が迎えに出て来た。

「集まっているか」と律之助が訊いた。

「へえ」と源兵衛が答えた、「なかで日当に不服を云う者もありましたが、あらまし集まっております」

律之助は頷いた。

彼はまえの日、源兵衛に命じて、「日当を出すから」といい、お絹と卯之吉の相長屋の者を、その寺へ集めさせた。両方で三十一世帯、稼ぎ手の男には二匁、女には米三合というきめ(費用は役所から借りた)である。当時は腕のいい大工でも日に三匁がたいがいの相場だから、不服を云われる筈はなかった。

かれらは本堂に集まっていた。だらしなく寝そべったり、やかましく話したり笑ったりしていたが、律之助が入っていって須弥壇の脇に坐ると、かれらも静かになり、こっちへ向いて坐り直した。