轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

「別冊文藝春秋」1959(昭和34)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 69,788 字 · 138 页

青空文庫

それから肛門、口、鼻腔など、――暗い家の中にはいぶした松葉の煙が、炉の火を映して赤く染まり、娘ののたうち痙攣する五躰や、その号泣する声など、人の唱和する呪文とともに、この世のものとは思えないような、すさまじく、怪異な状態をもりあげていった。

娘はまもなく悶絶した。すると、娘の片方の足を押えていた女が、突然、悲鳴をあげて暴れだした。行者はその女を指さして、「狐はこの女に移った」と云った。娘が死んだので、娘に憑いていた狐が、その女のほうへ移ったというのである。みんなは行者の云うままにその女を捕え、行者は娘にしたと同じ手段で、その女を責め殺した。――人々はすでにみな、その非現実で怪異な状態にとりつかれてい、その女が悶死するとすぐに、次の者が狂いだした。行者はかれらのあいだを駆けまわり、呪文を唱えながら、狐が誰に移ったかということを指摘し、するとその人間は狂いだし、行者が手を出すまでもなく、かれら自身でその人間を責め殺した。――まるで鼠花火に火をつけたように、これが次から次へとひろがってゆき、弥七の家から逃げだした者が、各自の家でまた同じように狂いだし、互いに責め殺すという結果になった。