轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
重吉はからだがたよりなくなるような、精のない気分でそれを聞いていた。
まもなくお直とおつぎが帰り、良吉も井戸端から戻って来た。お直たちは内職物の包を背負っていて、有難いことに来月いっぱい仕事が続くそうだ、などと重吉に云いながら、六帖へいって包をおろし、良吉は手ばしこく道具を片づけた。
「かあちゃん」と良吉は土間から叫んだ、「おれ、ちゃんと湯へいって来ていいか」
「大きな声だね、みっともない」と六帖でお直が云った、「いくんなら、亀吉も伴れてっておくれよ」
「だめだよ、今日はだめだ」と良吉は云い返した、「今日はちょっとちゃんに話があるんだ」
彼は父親に眼くばせをし、「この次に伴れてってやるからな、亀、今日はかあちゃんといきな、な」
「ひどいよ、良」と云うお芳の気取った声が聞えた、「伴れてってやんな、良、ひどいよ」
「へっ」と良吉が肩をすくめた、「あいつをかみさんにする野郎の面が見てえや、ちゃん、いこうか」
おつぎが重吉に手拭を持って来た。
湯屋は川口町に面した堀端にある。昏れかかった道を歩いてゆきながら、良吉は父親に笑いかけ、帰りに一杯おごるぜ、と云った。冗談いうな。