轻松读懂日语经典作品
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ちゃん
ちゃん
山本 周五郎
「週刊朝日別冊陽春特別読物号」朝日新聞社、1958(昭和33)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,377 字 · 45 页
「よせやい」と良吉が云った、「そう四角ばるこたあねえや、酒だろ、ちゃん」
「うん」と重吉はうなずいた、「――酒だ」
「あたしがつけるわ」とおつぎが立った。
重吉はお直に云った、「片づけるのは待ってくれ、そのまんまにして、みんな立たねえでそこにいてくれ」
「酔っぱやってんだな、たん」とお芳が云った。
お直は立って、酒の燗のつくうちに片づけよう、このままではきたなくてしようがない、そう云って手ばしこく膳の上を片づけ、お芳と亀吉がそれを手伝った。良吉はこのごろ読み書きを習いにかよっている。一つ向うの路地にいる浪人者の家で、小さな寺子屋をやっており、夜だけかよっているのだが、彼は「今夜はおくれちゃった」と云いながら父親には構わず、道具を揃えて立ちあがった。
「そうか」と重吉は気がついて云った、「おめえ手習いだったな」
それででばなをくじかれ、重吉はまるで難をのがれでもしたような、ほっとした顔になり、かしこまっていた膝を崩して、あぐらをかいた。――良吉は出てゆき、酒の支度ができた。お直とおつぎは内職をひろげ、重吉はお芳と亀吉をからかいながら、手酌で飲みだした。こんどは酒がうまくはいり、気持よく酔いが発してきた。