轻松读懂日语经典作品
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
「講談倶楽部 春の臨時増刊号」大日本雄弁会講談社、1950(昭和25)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,977 字 · 47 页
信乃は甲之助と乳母のすぎを伴れて実家へ帰った。甲之助がなついていてすぎを離さないのである、信乃が抱いてやってもすぐ乳母のほうへゆきたがるし、夜は乳母と寝床を並べなくては眠らなかった。
「母親はあまく育てるなんて、ごらんなさいな」
母はじれったそうに云った。
「すぎを離してやりなおさなければだめですよ、あなたたちは赤ちゃんから独りで寝たんですから、あんなに附いていてなにすると、気の弱い子になるし、丈夫には育ちませんよ」
「ええ、そう思うんですけれど」
信乃はさびしげに笑って答える。
「そのうちにそう致しますわ、もう少しわたくしが元気になりましたら……」
だが進んで母の云うようにするふうはみえなかった。昔の自分の部屋は兄嫁が使っているので、離れになった隠居所に独りで寝起きしていた。兄夫婦も母も妹も、信乃の気をひきたてようとして、社寺の参詣とか、野遊びなどにさそい、暇があると集まって、歌留多とか双六などをするようにした。信乃はしいて拒みはしなかったが、外へ出ることは承知せず、遊び事もすぐ疲れたと云ってぬけたがった。
「もうあなたには関係がなくなったのだから、上村との事はいっさい忘れて、これから幸福になるんだと思わなくてはだめですよ、あなたはまだ若いんですから」