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やぶからし
やぶからし
山本 周五郎
「週刊朝日増刊」朝日新聞社、1959(昭和34)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,476 字 · 44 页
ついまたやらずにはいられない」
恥ずかしく卑しいことだ、という気持があるためだろう。遊んでいるうちに気が立ってきて乱暴をし、相手にけがをさせたようなことも三度や五たびではない。放蕩を始めたのは十八くらいのころであったが、そのきっかけも友達やなかまが欲しいからで、自分で心からたのしんだことはいちどもなかった。金のあるあいだは女たちもあいそがいいし、なかまも取巻いて騒いでくれる。だが、金がなくなると同時に、どっちもあっさりとそっぽを向き、道で出会っても眼をそむける、というふうであった。
「小さいじぶんと同じことだ、おれはいつもあとで自分を恥じる、自分のいやらしさ、卑しさが恥ずかしくて、どこかへ逃げだしたくなってしまう」
おまえを嫁に貰ったとき、おれは本心から生れ変るつもりだった、とあの方は語り続けた。こんどこそそのつもりだった。けれども、放蕩こそしたが女をよく知っていなかった。僅かに知っているのは売女にひとしい女だけだし、それも人間らしい相手ではなかった。そんなおれ自身にとって、おまえはあまりに違いすぎた。寝所で二人きりになったとき、初めておれはそのことに気がついた。