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ガラマサどん

ガラマサどん

佐々木 邦

「キング」1930(昭和5)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,079 字 · 202 页

青空文庫

「大いに宣伝するね。流石に出身は争われない」

「これだよ、君」

と私は手帳の一頁を開いて突きつけた。

「何だい?」

と松本さんは手に取って、

「ふうむ。これは/\」

と喉を鳴らしながら読み始めた。

覚え一九三〇元旦

○好配を求めて娶る事。茶飲み友達ゆえ、四十台にてよし。

○及ぶ限り血圧を下げる事。

○自叙伝上巻出版の事。

○恩人祭挙行の事。

○及ぶ限り増配の事。

○増資決行、南満工場設立の事。

○禁酒実行の事。ビールも含む。血圧の為め宜しからず。

○及ぶ限り節煙の事。矢張り血圧の為めなり。

○及ぶ限り菜食の事。同上。

○国産ビール稲荷神社昇格の事。

○末次君探幽菊寿童の事。(懇請)

○赤石君雪舟双幅の事。(奇襲。呵々又呵々)

○赤石君因陀羅寒山拾得の事。(宗達交換)

○赤石君文晁帰去来の事。(懇請、頓首)

○将棋三段免状の事。

○三須君引退の事。

○門脇君同上。

○川崎君昇進の事。

○戸張君昇進の事。

「大将の発心さ。年頭に書いたものらしい」

「君に見せたのかい?」

「何うして/\。内証だ」

「よく手に入ったね」

「これで二頁だ。もう一頁あったようだったけれど、これ丈け写し取ったら足音が聞えたから、中止にした」