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バルザックにたいするひょうか
バルザックに対する評価
宮本 百合子
「文学古典の再認識」芸術遺産研究会編、現代文化社、1935(昭和10)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,904 字 · 62 页
この年、一七九九年のブルターニュの反乱を題材とした「木菟党」を発表し、バルザックはこの小説で初めて自分の本名を署名した。つづいて同年「結婚の生理」を完成し、作家オノレ・ド・バルザックの名は漸く世間的に認められ、新聞雑誌に喧伝せられるに到った。
翌年「カトリーヌ・ド・メディチ」「恐怖時代の一插話」などとともに発表された「※(「鹿/(鹿+鹿)」、読みは「そ」、第3水準1-94-76)革」は、その生涯の最後の年にあったゲーテの注意をもひき、バルザックの作品は外国にも認められはじめた。日に十七八時間もぶっとおしの労作、彼の「牡牛のような健康」ではじめて可能な労働をつづけて、以来二十年間年々四五篇以上の生産をもつバルザックの作家活動が開始されたのである。
これらの文学的成功は、幾分でもバルザックの経済危機を緩和したであろうと誰しも推察するのであるが、彼の場合実際生活は決してそのように内輪に運転されなかった。一部をやっと返済したかと思うと、一方では負債の増大するようなことばかりが起った。自身、いつ返せるか当のない借金の山を負いつつ、ヴェルデやサンドーの借金の証人に立ったり、いかにも彼らしく、まだ書いてもない小説からの収入までを算用して遣いすぎをやったり。