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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页
て食うのであった。ベトベトとした味噌の如きものには、胡麻のにおいがしたような気がする。何しろ、食物の乏しい頃だったから、貪るように食ったので、味についての記憶があんまり判然していない。昂奮する程の味ではなかったが、あっさりしているから、いくらでも食えた。
やっぱり、その時の京都だったか、白水(?)という店で、牛肉のバタ焼を御馳走になり、肉に飢えていた頃のことだから、僕は大いに食って食って、食いまくって、
「えらいもんやなあ。先生、あんた、牛肉一万円食うて呉れはりましたで」
と御馳走した人をして喜ばしめ(?)たことがある。
その後、いささか礼節を知ったのか、まだ、一人で一万円の肉を食った経験はない。
近頃での、面白い経験は、去年の暮、笑の王国の旧メンバーの忘年会で、サクラ鍋を食ったことであろう。サクラとは勿論馬肉のことだ。俗に言うケットバシ屋。浅草の、あづまという店。僕は、あんまりゲテモノ好きではないので、サクラときいては、どっとしなかった。だから、恐る恐る鍋を突ついたのであるが、これは割合にイケました。味噌ダレでクタクタに煮ちまうんだからよく味は判らない。