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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页
神戸
久しぶりで、神戸の町を歩いた。
此の六月半から七月にかけて、宝塚映画に出演したので、二十日以上も、宝塚の宿に滞在した。
撮影の無い日は、神戸へ、何回か行った。三の宮から、元町をブラつくのが、大好きな僕は、新に開けたセンター街を抜けることによって、又、たのしみが殖えた。
センター街は然し、元町に比べれば、ジャカジャカし過ぎる。いささか、さびれた元町であるが、僕は元町へ出ると、何だか、ホッとする。戦争前の、よき元町の、よきプロムナードを思い出す。
戦争前の神戸。よかったなあ。
何から話していいか、困った。
で、先ず、阪急三の宮駅を下りて、弘養館に休んで、ゆっくり始めよう。
三の宮二丁目の、弘養館。それは一体、何年の昔に、ここのビフテキを、はじめて食べたことであったろうか。子供の頃のことには違いないのだが。
弘養館という店は、神戸が本店で、横浜にも、大阪にも、古くから同名の店があった。
神戸の弘養館は、昔は、三の宮一丁目にあったのだが、今は二丁目。
今回、何年ぶりかで、弘養館へ入って、先ず、その店の構えが、今どきでなく、三四人宛の別室になっているのが、珍しかった。