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おもいで
ロッパの悲食記
古川 緑波
古川緑波『ロッパの悲食記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:想い出、ああ東京は食い倒れ、浅草を食べる、色町洋食、うどんのお化け、甘話休題、牛鍋からすき焼へ、下司味礼賛、神戸、氷屋ぞめき、このたび大阪、清涼飲料、食べたり君よ、駄パンその他、八の字づくし、富士屋ホテル。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,651 字 · 114 页
これを思うと、僕は、わざわざ東京からそれだけのためにでも、神戸へ行きたくなるのである。
その他の料理も皆、純中国流に作られていて、近頃の東京のように、洋食に近いような味でないのが、嬉しい。
此の店、階下を、流行のギョウザの店に改装し、これも中々流行っている。
支那料理の話になったら、神戸は本場だ、もう少し語らなくてはなるまい。
戦前から、戦中にかけて、僕が最も愛用したのは、元町駅に近い、神仙閣である。これは、谷崎潤一郎先生に教わって行った。そして、その美味いこと、安いことは、実に何とも言いようのないものであった。
現今流行の、ギョウザなどというものも、此の店では、十何年前から食わしていた。
さて、戦後(一九五四年)、戦災で焼けてから、建ち直った神仙閣へ行った。
入口のドアを開けると、中国人が大きな声で、「やアッ、ヤーアッ!」というような、掛け声の如き、叫びを叫んだ。
「いらっしゃい」と言う、歓迎の辞であろう。途端に、ああ昔も、此の通りだったな、と思い出した。そして、久しぶりで此処の料理を食ったのであるが、昔に変らず美味かった。但し、いささか味が欧風化されたのではないかという疑問が残ったが。