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いっすんぼうし

一寸法師

江戸川 乱歩

「東京朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月20日<br>「大阪朝日新聞」朝日新聞社、1926(大正15)年12月8日~1927(昭和2)年2月21日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,475 字 · 194 页

青空文庫

た。

「どうだい小林君、僕が怠けていなかったしるしだよ。この品々は間もなく僕の手を離れる。僕の友人の田村検事が今度の事件の受持に極ったということだから、みんなあの男に渡してやる積りだ。これだけあれば随分調の足しになる。いや足しになるどころではない、これを十分吟味すれば、何もジタバタしなくたって、坐っていて事件の真相をつかむことが出来るかも知れない。で、僕の手を離れる前に、丁度いい機会だから君に一応見て置いてもらおう。君は今度の事件の紹介者でもあるし、君自身中々熱心な素人探偵でもある様だから、僕にしてはいわば職業上の秘密なんだけれど、特にお目にかける訳だ。その代りこの品々に対する僕の判断は一切いわない。いえないのじゃない。いうことを差控えて置くのだ。君も知っている通り、僕は事件がすっかり解決するまでは、中途半端な想像なんかしゃべらない癖なんだ」

明智はそれらの品物を愛撫する様にひねくり廻しながら、一寸奥底の知れない薄笑いを浮べていった。骨董屋の親父が古道具の値ぶみでもしている恰好だった。

「どれから始めるかな」彼はさも楽しげに見えた。「そうそうO町の家のことを話し始めていたね。