轻松读懂日语经典作品
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さんねんめ
三年目
山本 周五郎
「雄弁」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,214 字 · 22 页
三の一
……友吉の眼は鋭く、お菊の髪が丸髷なのを凝視していた。
「どなた、船定さんからですか」
「…………」
「うちはまだ帰って来ませんが、なにか」
と覗くはなへ、友吉は濡れ足のままずいと上って頬冠りを脱った。
お菊は不審そうに友吉を見た。そして、誰だかということが分り、相手の眼の猛々しい光を見ると、
「……あっ、おまえは」
愕然と叫びながら、たじたじと後ろへよろめいた。友吉は襲いかかるようにとび込んで、女の右手をぐいと掴みながら、
「友吉だ、驚いたか」
と歯のあいだから絞り出すように云った。
三の一
「友さん、なにをするの」
女は本能的に危険を感じた。
「待っておくれ、これには訳があるのよ」
「どれに訳があるんだ、この丸髷にか」
「あ、あれ、誰か!」
女のあげる悲鳴が友吉を唆しかけた。
「うるせえ、じたばたしても追付かねえぞ」
力任せに引据えると、手に当った腰紐で女を後ろ手に縛り、手拭でがっちりと猿轡を噛ませた。……女は大きく瞠いた眼で、祈るように友吉の眼を見上げていた。
「よくも、……よくもおいらを騙しやがった、こんなこととは知らねえから、おいらあ上方で三年、ひと口の酒も呑まず稼いでたぞ」