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アラスカのひょうが
中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页
その雑誌に、昨年の春「極地関係の研究をしたい人は、プランと予算とを申し出られたい。適当と認められた研究には、当研究所から援助をする」という広告がでた。それで東君たちは、早速それにメンデンホール遠征の案を申し入れた。
単結晶の採集が、氷の基礎研究に絶対必要であることは、新しくいうまでもない。しかしこの遠征には、いま一つ別の目的がある。それはメンデンホールの氷河で、何故そういう大きい単結晶ができるかという点を、解明する仕事である。すぐ近くにある同様な氷河では、大きい単結晶が見られないのである。
この研究のためには、隊員は、氷河の末端から、ずっと源ちかくまで登って、各地点で、結晶の大きさを調べる必要がある。源ちかくでは、結晶は小さいにきまっているが、氷河の流下とともに、次第に生長する。その生長の様子がわかれば、大きい単結晶がどうしてできるかという点もわかるであろう。
この調査は、本当は、たいへんな仕事なのである。困難な氷河のトラバースは、それこそ何十回としなければなるまいし、結晶の大きさを調べるには、クレヴァスの中に降りなければならないであろう。よほど熟練したアルピニストを必要とするが、橋本君はマナスルの勇士の一人で、ヒマラヤの氷河で、十分経験をつんでいる。