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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河』。同一底本的分册已合并为一书。收入:アラスカの氷河、永久凍土地帯、黒い月の世界、白い月の世界、満洲通信、アメリカの旅、アラスカ通信、ウィネッカの秋、ウィネッカの冬、ツンドラへの旅、ネバダ通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 页

青空文庫

不連続線が近くへくれば、すばらしい巻雲が見られるが、天気が落ちつくと、毎日毎日一点の雲もない澄みきった青空になる。ここは、世界中で最も空気のきれいなところということになっているので、空の色の深さは、ちょっとほかに類例がない。

こういう場所をわざわざ選んできたのは、この空気がきれいだという点にあった。もっと端的にいえば、こういう空気のきれいなところに降る雪の形を調べにきたのである。私たちの雪の研究も、もう二十五年の年月をかけたが、今までに得られた結果は、天然に見られる各種の結晶を、人工的に低温室の中で作れるようになった、というだけのことである。それでわかったことは、結晶の形は、できる時の気温と、水蒸気の過飽和度と、この二つの要素できまるという点であった。とにかく註文に応じて、望みの結晶が、人工的にできるようになったので、一応は問題がかたづいたとして、一安心していた。

ところがその後、電子顕微鏡を使って、雪の結晶の核を調べだしたら、いろいろ腑に落ちないことが出てきた。そしてさんざん探したあげく、どうも気温と過飽和度との外に、いま一つ隠された要素があって、それが二次的に、結晶形を支配しているらしいということになった。