轻松读懂日语经典作品
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
01 乾雲坤竜の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页
のだった。
と同時に。
敵の眼をくらましてその裏をかく方便として、泰軒が栄三郎にすすめたのが、この、風流べに絵売りの変装であった。
泰軒が味噌をすれば、栄三郎が米をとぐ。栄三郎が水を汲めば泰軒先生が箒を手にする。が、居候四角な部屋を丸く掃き――掃除というのも名ばかり型ばかりで、男同士の住居は梁山泊そのままに、寝床は敷きっ放し、手まわりの道具や塵埃は散らかり放題。それで、栄三郎がかつぎ売りに出ている昼のあいだは、泰軒居士は寝てばかりいて、床のなかから豆腐屋を呼んだり金山寺を値切ったり……いまではこの家、瓦町長屋の一名物となっているのだ。
白皙紅顔の美青年栄三郎は、このごろはべに絵売りの扮装も板についてきて、毎日、はでなつくりに木箱を背負っては江戸の町々を徘徊し、乾雲の眼を避けながらその動静を探っている。
「アレ! きれいなべに絵さんだこと!」
はすっぱな下町娘や色気たっぷりの後家などが、ゆきずりに投げてゆくこうした淫らがましい言葉、それにさえ慣れて、はじめのような憤りや自嘲を感じなくなった栄三郎であった。
が、しかし!
家にある泰軒先生が一日じゅう蒲団をかぶって奇策練想に余念のないごとく、優にやさしいべに絵売り栄三郎の胸中にも最近闘気勃然としてようやくおさえがたきものが鬱積していた。