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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

01 乾雲坤竜の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 340,187 字 · 666 页

青空文庫

ひょいと眼ざめて面を出したが申しわけない! また寝る、また寝る――」

いいつつ板の間に横になって、またごそごそ菰をかぶろうとする。

こんどは栄三郎がまごついた。

「いえ。そ、それにはおよびませぬ」

相変わらずの破れ着、貧乏徳利を枕に、名のない男は筵を夜具にすましている。

「ははあ。起きてもさしつかえないのか」

「先ほどからのわたしどもの会話耳にはいりましたか」

「うむ。刀のところまで聞いた。あとは知らぬ。おもしろそうなはなしだったな」

「あの、しからば、刀のことを――?」

「さよう。悪かったかな?」

栄三郎の眼がけわしい光をおびてくる。

「いくら悪くても、もう聞いてしまったのだからいたしかたあるまい」男は平気だ。「それより、あんたにはほかに助力がなければ、わしが手をかしてもいいと思っておる。が、密事を知ったが肯かれんと言うならどうとも勝手にするがよい。第一よその家へ断りもなしにはいりこむほうがふとどきだ」

「なに? 助力を? はははははは」

栄三郎は膝をうって不敵に笑った。すると男は、

「そうだ。おれの助太刀がほしければ、ひとこと頼むと頭をさげろ」

「何を無礼な!」