轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こじきがくせい

乞食学生

太宰 治

「若草」1940(昭和15)年7~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,682 字 · 68 页

青空文庫

」思わず軽く頭をさげて、それから、しまった! と気附いた。かりそめにも目前の論敵に頭をさげるとは、容易ならぬ失態である。喧嘩に礼儀は、禁物である。どうも私には、大人の風格がありすぎて困るのである。ちっとも余裕なんて無いくせに、ともすると余裕を見せたがって困るのである。勝敗の結果よりも、余裕の有無のほうを、とかく問題にしたがる傾向がある。それだから、必ず試合には負けるのである。ほめた事ではない。私は気を取り直し、

「とにかく立たないか。君に、言いたい事があるんだ。」

胸に、或る計画が浮かんだ。

「怒ったのかね。仕様がねえなあ。弱い者いじめを始めるんじゃないだろうね。」

言う事がいちいち不愉快である。

「僕のほうが、弱い者かも知れない。どっちが、どうだか判ったものじゃない。とにかく起きて上衣を着たまえ。」

「へん、本当に怒っていやがる。どっこいしょ。」と小声で言って少年は起き上り、「上衣なんて、ありやしない。」

「嘘をつけ。貧を衒う。安価なヒロイズムだ。さっさと靴をはいて、僕と一緒に来たまえ。」

「靴なんて、ありやしない。売っちゃったんだよ。」立ちつくし、私の顔を見上げて笑っている。